広辞苑/アマメ庵
 
ふと広辞苑がほしいと思った。
いや、学生時代からもほしいとは思っていたのだが、いつしかその欲求は薄れ、また思い出したのだ。
単に国語辞典が必要と言う訳ではない。
むしろ仕事上はなんら必要もない。
でも欲しい。
電子辞書やCD−ROMなどに収録されたナンパな奴ではなく、卓上で邪魔としか言いようのない存在感を放つ紙の広辞苑が欲しい。

あなたの家、あるいは実家には広辞苑があるだろうか。
わたしが子供のころの友人の中には、広辞苑を持っている人が少なくなかった。
その多くは、就学時に祖父母からむやみな期待と共に贈呈されたものと察せられる。
大きな家に住んでいた友人宅には、彼のために与え
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