蛇音/よーすけ
自動で調理されたかのようにほとんど味の無いカレーを口に運びながら、栗須はさっきまでシネコンで観ていた戦争映画について考えていた。本当はもっとまともなところで昼食を摂りたかったのだが夏休みに入った事もあってどこの店も混んでいて、何とか空いているのはこのショッピングモール内のフードコートしかなかった。
「にしてもかっこよかったな、あの突入シーン」
瑞嶋は店内の喧騒にいくらか辟易しつつ言った。フロア内には流行りのポップスを電子音で一層明るくアレンジした曲があらゆる方向に仕掛けられたスピーカーから流れ、そこに買い物客のいろんな音程の声が混ざり、音楽とただの騒音の境界線ぎりぎりを漂っている。
栗
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