男になりきれない、女になりきれない、手紙。【夜のみち。】/西瓜すいか
 
同じ教室にはともだちがいた。

白く消え入りそうななりをして、そのくせ刃のような目をする子だった。
その目は無邪気な好奇心と、大人への不信感にみちていた。

彼女は絵描きだった。
そしてきれいな手をした彼も、絵描きだった。

わたしたちはともだちになった。

3人のともだちが、一組の恋人とひとりの少女になるのはよくあること。
わたしはそのシナリオを、冷たい頭で組み始めた。
「きっかけ」さえあれば、うまくやってみせる。
頭を使えば、うまくできるはずだ。男を知らないわたしでも。

ある日彼は自分の書いたイラストを持ってきて、
「今、ゲームの設定資料を描いているんだ」

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