蕎麦の花/道草次郎
 
テレビから鈴虫届く午前四時

過ぎてなお白に蒼差す蕎麦の花

しみ豆腐卵にとじられ杖に葱

欣ぶと小糠雨降る草の秋

入口の分からぬ銀行実南天

善きものと小さきものの蛍草

夜汽車往く音のみ染みてクローバー

颱風の目ばかり観てはニュース消す

語彙のない田圃に鴉二三匹







戻る   Point(1)