一寸先は足/黒川排除 (oldsoup)
 
猿が落とした果実も猿もやわらかい

蔓草ピタリと止まり中二階のある家

連呼して草原の上を吹きわたる

老人生き存え殺風景をかくのみ

霞破る舌なめずりに継ぎ目なし

近眼に花火打ち上げられ水溶

ガムの話カスタネットを打ちつ聞く

蟻の行軍今静かに狂い出す庭師

わがゆめポリエチレンのフタをねじ込まれはないき

田より出でて途切れる道 底から火柱

風前に待ち伏せていたあしあと

何かが石と化し杖となりの滝へ倒れる

村全部とはぐれてうろたえるほど虫の音

矛先の少年は劇を待っている

体温で溶けない土を島と呼ぶ

老婆うなりあう街角は氷山の容器

夕暮れ過ぎて夜になる前の黒猫たち

紙なかなか重ならないかざみどりの雨

日射の浴槽に 湯気なく 外を出歩く湯気

賢者の血を照らす松明向こう岸まで
戻る   Point(5)