夢泥棒/森田拓也
 
片足に秋の小蝶の影淋し

野良猫の影のか細く冬隣

基次郎レモンをひとつ置く書棚

さつま芋ご飯をつまむ新(さら)の箸(はし)

金柑を中心に秘めお饅頭

ふた口で終はる楽しみ栗羊羹

母の愚痴聞く耳持たず虫を聴く

美容院母の頭も紅葉かな

急用も忘れ紅葉の下にゐて

ドラえもん久(ひさ)に見て泣く夜長かな




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