幻燈機のなかで/森田拓也
 
朝顔や手の届かざる空の紺

コスモスは風に倒され起こされて

身体(からだ)より影長くして飛蝗(ばつた)とぶ

かぼちゃ煮る母ゐる今を大切に

虫の音は心安らぐおまじなひ

薄紅葉幼なじみとすれ違ふ

卓の上「井戸に西瓜」と置き手紙

西瓜には塩をかける派?かけない派?

残菊や今日は親分逮捕の日

パプリカの家の表札「らどみ」かな  (敬称略)

木犀の香る風ゐて部屋の中

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