ピーマンの部屋/森田拓也
 
夕暮れや紅葉を冷やす雲の影

流れ星窓に腰かけハーモニカ

色めくは雲のみならず秋夕焼

朝顔に歩み緩めて二歩三歩

朝顔や隣にまはす回覧板

登りきりそよ風のさき初紅葉

彫刻に山葡萄ある写真集

小鳥来て鳥語を話す小枝かな

小飛蝗(ばつた)の身体(からだ)二倍のジャンプかな

おばあちゃんいつも机上に硬い鮭

蜩や夢のドアより遠く来て

ピーマンに住みたし人にもう会はず


戻る   Point(8)