言ノ葉の彼方へ/森田拓也
 
 心の地図にのってない場所へ
  出掛けてくると君は言う

         ──UA





手紙書くきれいな気持ち小鳥来る

秋風を連れ去るもまた秋の風

鳥渡り開(あ)きっぱなしの空の窓

渡り鳥夜の煙草はほの苦く

ボスといふ名の仔犬ゐて青蜜柑

蜻蛉(とんばう)の軽さに沈む稲穂かな

いたづらに案山子(かかし)顔なし稲雀

焼さんま待つ真つ白いお皿かな

さんま食ふ美味しく骨と格闘し

夜学生走れ!間に合ふ!あと五分!

息切らし挨拶する子夜学校

見上ぐれば帰る燕のおしりかな

雨に空濡れて燕の帰る日に
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