冬と針/木立 悟
 






指絶って初めて銀の原を描く



午後の叉路おまえの臓物においたつ



戻るまま路地の夕べの猛るまま



望み無き月ゆき交うは自身なり



針を持つ指のすべてが針となる



けだものよ応え無く笑むけだものよ



尖塔に刺さり分かれる泪かな



言葉燃す言葉は来やる夜の雨



冬の目の左から右さわがしく



まばたきよ己れを呑むか世を呑むか
















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