冬と震え/木立 悟
 







觱沸(ひつふつ)と二つの弦の震う海



とどめさす声はまなこに血は咽に



とどろきに手のひらかざし目をふせる



風は無く鳥たちの声吹き荒れる



赤い朝ひとつの心臓ひたしゆく



水を着て粉路を歩む背を歩む



鳥や子が銀の器械をついばむ日



指と指迷宮のなか生きてゆく



目の奥に異なる炎語りあう



冬の日の心が落とす影ふたつ

















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