冬に会え/木立 悟
 





左腕だけが鋏に火に触れる



指五本喰らうべくして音喰らう



月尽きて地に声低く骨の笛



水滴をはらうが如く己れ斬る



塩を越え空の辻にて絶命す



策も無く死せる太陽ここに在り



泥炭は「おまえは焔(ほむら)」繰り返す



嘴(くちばし)を緑に預け火を兆す



廃船が廃洋の陽を堰き止める



病む肺に光の繰(く)り言つもりゆく



この先はくちびるに会え冬に会え




















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