感情と技術/吉岡ペペロ
ウィーンフィルの首席チェリストやバイオリニスト四人の弦楽四重奏を生で聴いた
生はCDとは違う
生はいきなり全開ではない
柔らかく探り探りしながら
調べは厚く熱く豊かになっていった
演奏家がテーブルをまわって来たとき質問をした
あなたの音楽を支える言葉みたいなものはありますか?
演奏家があなたは英語が分かるほうかと聞いてきた
それから強い目でこう言った
私は4才の頃から毎日バッハやモーツァルトやハイドンやヨハンシュトラウスを弾いている昨日も一昨日もだだから一言で言い表すことは出来ない全ての感情や技術を今もここで学んでいる
たぶんこんなことを彼は言った
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