鳩の話/吉岡ペペロ
 

ひとには必ず一羽の鳩がいる

人口と鳩の数はおんなじだそうだ

第二次世界大戦のころは鳩の数も激減した

ぼくもなんどかじぶんの鳩を見たことがある

もちろんこれは、たぶん、の話だ

公園でじっとしたまま膨らんでいる一羽の鳩を見つけた

尽きようとしている命をぼくは苦い思いで通り過ぎた

数羽の鳩が視界をかすめて音をたてた

あの鳩があのひとに繋がっている、だとか分かるひとなんているのだろうか

そんな能力を欲したことはないけれど


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