同じ部屋で別次元/黒乃 桜
 


開けていく夜を見ながら
ラムネ味の嘘をかじって

昨日の残骸を
集めて寄せて丸めてた

寒いみたいに唸って
たじろぐ僕を気にも止めず

明日の為へのレターセット
薄いビニールから取り出す君

強いとは言わない
弱いとかって嘆かない

君は君 僕は僕
なんかの諦めみたいに呟き

足元にあった暖房が
いつの間にか君になり始めてたり

冷え切った指先で触れようと
思い切り背伸びをしてみても

タンスの上 埃被った
未来日記には届きそうにないよ

そして泣きじゃくる
それも君は予言してたんでしょ

その小学生みたいな
ちゃちいレターセットで

細いシャーペンの芯が
ぱきぱき折れる音

君は一心不乱に
言葉を書き綴ってるだろう

僕は集めた残骸を両手に抱えて
隣の部屋へと ただ移して行くだけ

凍えて震える喉では
君を呼んじゃ駄目なんでしょ

欲しいとは言わない
無いとかって嘆かない

僕は僕 君は君
なんかの諦めより認め方で

手はまだ のばせなくてもカップの珈琲 暖めなおしてあげるよ

君の 予言じゃ無い事から
そっと
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