逢瀬の月/草風
 
重ねたる肌の温もり忘れえず また来るメールの長き行間

あても無く歩く裏道 影二つ今宵の宿は摩天楼下

指間よりこぼれし乳房引き寄せて しばし動かず 二日目の雨

上り詰めシーツに横たうひとときに 今度を問うは朝にしようか

あと少し もう少しだけ君を待ち 切なき叫び 白濁の月

唇を離すひと時 君の噛む甘き吐息を奪う夜風よ

壊れゆくリアルを沈め滴れる 明日無き今日の楽園の道

音立てて閉じる電車の扉より 後ろ髪引く逢瀬の月も
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