残りは銀の雫だけ/由比良 倖
 
あなたとは付き合いづらい日もあって外では草の葉ばかり見てた


私には何にも無いの、遠い未来から降ってくる言葉以外は


銀色の雫を舐めて純愛を求めて生きる森の鹿たち


忘れたい思い出ばかりで歩いてる花火が割れたみたいな視界


もはや生きていけないほどの白色でコンクリートが光ってました


この年の数万人の自殺者のリストの隅の私の名前


図書館に置き忘れて来た記憶、誰かの栞、活字に降る雨


あなたにはありふれたことだろうけどそれは私の常識じゃない
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