我を忘れない/紀ノ川つかさ
 
その国の子供たちは
大笑いも大泣きもしない
嬉しい顔や悲しい顔だけはして
黒い瞳はただ開かれている
豊かな表情を許されていない
かわいそうな子供たちだと
そんな陰口も聞こえてくる
そこは自由のない国に違いないと

しかしその国にはかつて戦争があり
そこらじゅう火の海になった
なぜ戦争になったかというと
大人たちが望んだからだった
そして戦争が終わって
生き残った大人たちは
口をそろえてこう言った
 国が勝手に戦争を起こした
 私たちは戦争なんて
 望んでいなかった
そのとき子供たちは見抜いた
大人たちの嘘と身勝手を

子供たちは何をしていたろう
よく笑
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