眠ることからはじめよう/秋葉竹
 

 

それでどの空にも
だれかの想いや希望や渇望が
ゆらゆらとただよっているから

命の色なんて真っ青なのかななんて
ずっと考えたりしていたよ
だから夜になれば
命は眠りたい
幾晩も幾晩も
どこかから聴こえてくる君の
恋の歌を真剣に聴いた

世界を憂いているみたいな
賑やかな祭りのあとの静けさのような
けして積もらない雪が降りつづくような
ほお伝う涙があっというまに気化する香り

いつかふたりであの部屋で
聴いたような
でも
そんな景色は実はなかったんだと
だけど
嘘でもいいから心が濡れるから
そんな奇跡みたいな想い出が
欲しくなるんだ

ただ微笑みあっていたことだけは
色褪せることのない輝きだから
すべてを信じている
そしてすべてを感じている
流れゆく命の儚さや
やさしくくるんでくれる夜や
君の横顔に似た月虹や
今もまだ
信じていると云っていいなら
ぼくたちはもう一度
眠ることからはじめよう








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