抒情詩 VI/岡部淳太郎
抒情詩
それから、
世界のあらゆる片隅で
悲しみや喜びがあって
それらの感情は 爆発することなく
それぞれの内でただ秘められてあって
それから、
あらゆる自然の営みと
人という小さく愚かないのちの
過ちや祈りが
時のなかで更新されつつあって
それから、
月や星の出る夜に
愛することと愛されないことの
その狭間にある孤独に
いのちは翻弄されてあって
それから、
あらゆる争いや悲惨の
その物語のなかで
季節のように繰り返される
当たり前のことが意味とともに偏在してあって
(2025年11月)
戻る 編 削 Point(5)