秋穫祭/月乃 猫
 

―――― 寝床にもぐりこんでくる寒さに 
猫たちの寝息は、
安堵のぬくもり

朝霧の涼に
季節が書き留める
秋をあつめる

忘れ去られていた 彩を
想いだし
少しも変わらないはずのこの地で、

つぶやきに、
青空のした
目を逸らしていた。それに
気づき 子どもの目でさがす、

生きるために
身を守る針のクリや
リスの冬の食料は、くるみに
遅咲きのブルーベリーも 果物も
不揃いの野菜さえ
軋む車輪の荷台に
秋があふれ

地に裸足の
聖女たちが
今年の実を 穂を
山にささげるように、
この冬を
生きる 希望を信じてみる

こうべを垂れる稲穂の
黄金色のその重さに 生きる罪の痛さをしり
すべてを受け止めるように
穂にふれた。

不器用に収穫は、
ありがたい その言葉を越えていく言葉をみつけ
それによって 
この秋が確かに
みたされますように



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