Nothing is還って逝く/ひだかたけし
 
君の中に奥深くずんと入った時の驚愕
あぁもう只々じんわり温かい生命の
抱擁の熱そのもの存るを直観した瞬間の
なんにも見えなくなる薄紅の揺らぎ
死の間際の記憶薄っすら拡がる刻の鼓動
このまま逝ってしまう異様な陶酔静かさ
うっとり重なり押し寄せて来るを看取し
シッカリ自分を自分に繋ぎ留めてないと
本当に自分の魂意識の滅んでしまうから

と 想わず後から落ち着き君に報せれば、

そういう事はあたしのわかる範囲で話して頂戴と
偶には自分を極限迄追い込んでみればいいじゃん
またそういう無理難題を押し付けるあなたのエゴ

遣り取り続く果てのComunicationBreakdown

独り帰り道に はたと夕空仰ぎ見れば 、

紅の色濃く燃え上がる空間の
隙間隙間にエメラルドグリーン
次の死の際に輝くだろう色彩の宏大 
高貴へと引き上げられる野生の感性の
打ち刻まれ打ち刻む脳髄を反転させ
意識のみ限りなく覚醒し拡がりいくを
街並木通り沿い一歩一歩、慎重に注意深く
深呼吸し何処迄も何処迄も私が歩き続ける




戻る   Point(6)