こゝろ/室町 礼
やさしい心に
みっつの涙が落ちる
誠実な心に
みっつの汗が落ちる
なにかを引っ掛けようとして
鈎に身をむしられ
こゝ、といって詰まり
呂れつが
りっしん偏
わたしはいまどきの
字が読めない
語りがつんでれで
出会わせば
穴があったら入りたい
現役首相のような顔をした子どもは
もはや悪夢だ
現役首相のような顔をした青年の
詩の座談会も
また悪夢だ
ま◯こ表現だけでしか点を稼げない
女流詩人の司会もまた
悪夢だ
どこにも流れていく大地を
もたない
いまどきの は もはや
しどろもどろだ
もちろん
かれらの
愉しみソースがかかった欺瞞の
邪魔はしたくはない
死ぬまで浮かれろ
死ぬまで反り返ってろ
漱石はなぜ
こゝろ
というタイトルの小説を書いたのか
白身魚のように
中身もきれいだが
タイトルだけで
よかったはず
漱石という名前と
こゝろ
というタイトルだけで
教科書に載せるなら
それでじゅうぶんだった
それほど
いまはひどい
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