涼しい秋の夢/
りつ
真夏のさなか
もう風は
一足先の
秋の空気を
連れて来ている
赤トンボが
悠々と飛び
稲穂は実りに
お辞儀して
浅い夜に
涼やかな虫の
声を聴く
鈴虫の独唱
リイィィンと
ひときわ美しく
響き渡り
秋の夜長に
盃を重ねる
微(ほろ)酔いて
うたた寝し
目覚めてみれば
熱気の滾る
真夏の夜の夢
に
思わず
苦笑い
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