老いさらばえて/花形新次
 
割れた鏡に映る
歪んだ顔の方が
むしろ自分らしいと
思うようになってしまった

LEDの蛍光灯が
いつまでもいつまでも
瞼の裏側に
忘れなければならない
汚れた記憶を焼き付けて
俺は今夜も眠ることが出来ない

明日が来るのが怖かった
そんな幼かった時間は
ずっと前に通り過ぎて

俺は割れた鏡を覗いて呟く
これ以上醜くなる前に
何とかしなければ
ならない、と

老いさらばえてまで
生き続けることに
何の意味があるのだろうか?

答えは誰にも分からない










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