6月9日/唐草フウ
雨はそこまで叩きつけなかった
私は幾分 疲れていた
あなたにまた会いに行く
車のワイパーが しずくを両端に振り払う どこへ向かうかも追えない
「ごめんね」
何にごめんなのかわからないけど
そう言っている気がしてならなかった
傘をさしたまましゃがみ込んだ
石張りの上 水が滑らかに見えた
よく知らない紫色の丸い花もぬれて
雨がそこまで降りつけなかったから
私は 少し上の空だった
あなたに会いに来たのに
こんな日もあると 自分のルーズさと
経った時間が 比例していく
「ごめんね」
そう言っている気がしたのは
気を使わせてしまったから そう思ったから
車の帰路が またいつもの カーブを曲がりながら 揺られている
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