今は愛なき幻/
栗栖真理亜
冷たい肌で引き裂いた滲んだ鉄錆の味が苦く口に残った
まるで罪を罵るかのように
あゝ、どんなに振り返っても君はいない
君の醒めた横顔が瞼の裏に映る
見込み違いの幻が僕を責め立てる
どうか天よ
どうか天から降り落ちる雨よ
朽ちた十字架背負う僕を嘲笑いたまえ
罰すべき原罪を見過ごした僕の愚かさを鋭利な刃で引き裂きたまえ
どうにも出来ないもどかしい夢を今すぐにも踏み潰して欲しい
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