殺人事件/栗栖真理亜
 
詩の選考委員にとって必要な詩は選ばれる
しかし必要ではない詩は消される

これは詩の殺人だ
言葉は無視され
初めからなかったコトにされる

むしろ言葉の殺人事件だ
華やかに本誌に飾られた詩たちの影に
喪われた何百もの言葉たち

軽快に躍る活字のそばで泣くのは果たして親か
間違って生まれてきてしまった子か

殺意なき殺人は今日も始まる



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