曇天/
秋葉竹
いまにも泣き出しそうな空のしたで
雨傘をそっと確認した午後
鏡のような湖面で白い舟に乗っている
オールは水飛沫ひとつ立てず
波は悲しみのように遠ざかる
君は僕の目をみることなく
ただ涙目で空を見ている
風は首筋を撫でるように通り過ぎ
ふと、雨粒を首筋に感じる
静寂を壊さないように
ふたりの世界が流れていく
舟がなにを求めているのか
ふたりとも知らないままでいいと想う
ふと、気づけば
君の微笑みだけが
闇に灯るランプのように輝いているから
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