谷間の毒/ひだかたけし
今日も、毒をあおって死んでいく
馬鹿者が愚か者が、己の本当の自分、識らず
まんまのまんまでいつしか瞑目眼前に光り輝く
黄金色の一筋また一筋、光帯の谷間から射し込み
一気に伸び拡がる 次第に赤々と変色しながら
あまりにあざやかに色付く夢見の光景地、
気付けば景勝地と化し、いつしか観光地となり
金儲けに染め抜かれ
「何度も同じお客様方がお見えになるのよ」
女将の声の爽やか響き云う
裏へ裏へと回り込み、灰白の岩肌を彷徨う俺の
本当は何なのか、今に至り求めて居る求め探す
内部にひっそり潜むオマエの色彩を観たから
(視せられたから魅せられから)
行こう、生こう、目覚めてビジョンに言う
この肉身に シッカリ宿り在る限り
今日も、毒を差し入れながら
綺麗にヒゲを剃り自らの顔を洗い髪を梳かし
水を掻き混ぜ流体の輪郭感触を実感し 、
出掛けていくのだ、差し出される今日の時限へ
自らを差し出し 跳躍しながら自らを諦めて
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