ハンノキハムシ/本田憲嵩
 
ハンノキハムシ、
小豆大ほどの、ちいさな黒い甲が秘めた、
爽やかな初夏の訪れを告げる、
まるで宝石質のように美しい、その青びかり、
葉を噛んでゆく、作業を放って、
框ドアのアルミのサッシを、自由気ままに散策しながら、
とても気持ちのいい、
そよ風とお日さまに、憩うもの、
そうしてまた、人目を少うしばかり気にしながら、
こっそりとドアを開けて、
葉のしげる作業場へと、今ふたたび戻ってゆくもの、


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