病臥の幻、魂の現(改訂)/ひだかたけし
 
昨夜観た
別れ人の
私の眠る
寝床に
ま直ぐ座る
マボロシの
余りの厚み、
声音の感触、
やはらかく
あたたかく
寄り添い続け
恐れることも無く
只々お前なのか
ほんとうにと
問い掛けるなか
死の立ち上がり

通り過ぎてく
肉に担われる
魂と云う
貪婪な
自らへの執着
為す術もなく
同仕様もなく

別れの哀しみさえ
忘れていきながら
気付けばまた同じ
同じこと繰り返し
行き交う人の最中に
自らにのみ囲われた
欲を想いを吐き出し

しばしすきとほりみなぎる
たましいいしきのみなもと

澄み渡る宇宙の更なる向こう遥か
透空からまた今宵も魂の現の到来し、

死人(しびと)別れ人の現れに
ひたすら目を凝らし続ける

 我の内なる真の自我 、




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