幸福/はるな
 


蜜でびしょびしょのパンケーキ。
明るい白いお皿。
切り分けられる直前の幸福。

あなたの精神には美しい余白があって、
私たちはよくそこで落ち合った。
夕暮れどき、影になっていく街をみながら、
何ひとつ意味を持たないことを喜びあった。

あらゆる言葉を使ってしまったあとで、
幸福はやっと姿をみせる。
手に入れようと思ったとたん歪んでいく、
歪みながら、それでも望んでいる、
蜜でびしょびしょのパンケーキ。
切り分けられる直前の幸福、
それをとめる術はもうない。
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