くちびる/秋葉竹
計算なんてないからね
ふつうに一日あたりに
搾り出せるやさしさの
すべてを君にそそいでいるだけさ
ただ笑えるほど真っ白な世界に
住みたいな
って夢をみる
僕の心の闇が
一点黒いと嘆きたくなるような
真っ白な世界に
あるいは
世界で僕だけが異物扱いされた
苦しさに流した血涙みたいな
スーッと線を引く
赤
だけが唯一の色みたいな
真っ白な世界に
けれどじつは
そんな世界は夢なんだって
教えてくれた君の
君のやさしさが
懸命に僕の目をみてくれた
『命』を口づけみたいに分け与えてくれた
懸命なやさしさが
僕をそんな悲しい世界から掬い上げてくれた
だから
僕は
感謝と感激と愛と恋を直接に
そっとこのくちびるに込めて
僕のけんめいなやさしさを
君にそそぎたいだけなんだ
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