幻日と夢/栗栖真理亜
 
白い虫が騒がしい音符となって飛び廻る
縦横無尽に休む事なく攻撃的に急降下してはぶつかるように

まるで羽音は騒音
そうただ虚しく響く中味のない夢
私は一人立ち止まり耳を塞ぐ
意味すら持たぬ言葉の羅列が襲いかかり心臓の奥深くまで突き刺すまで

どこかで白いウェディングドレスの端が舞い教会の鐘が鳴る
迫り来る幻日が無意味な憧れを奪った崩れ落ちた瓦礫が降りかかる

まるで夏の豪雨のように
わたしは抜け殻となっていつまでも綿のない人形を抱いていた
黒い布帯で目隠しをしたまま枯れた涙を流して
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