君に告ぐ/栗栖真理亜
振り向かない君
その瞳に僕は映らず君はそのまま僕の側をすり抜けてゆく
忘れなくちゃ、君を
もう君は必要ない
そう心に言い聞かせながら
それでも僕は未だムダな期待を持ち続けている
言い聞かせたはずの心の奥底で
どんなに願っても君は振り向かないのに
どんなに祈っても君にとって僕はただの知り合いのままなのに
淡い想いはほろ苦い蒼葉の色となって僕の胸を詰まらせる
息苦しさはやがて安楽へと導くのだろうか
僕は無暗に君を招いたことを
今更後悔していた
何者をも信じられぬまま
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