一丁目の交差点で/死に巫女
一丁目の交差点で、
君が立ち止まって、
ヘーゼルのケーキを買っている時
時は巻き戻されて、
君の額の薄い部分で、
頭痛のように少しくぐもった。
そよ風が、
音もなく、
アルペジオのように、
分散されてささやけば
君がこんどは風になり、
すべてとなって溶けていく。
君は許されるのか、
そのゆくえを見守っていた、
それはまるでピアノのよう、
だったのに、誰も
そのことを思い出せないかのよう
ただポスターのよう。
海にはイルカ、
山にはカモシカ、
土地には人
月にはゆうれい、
それぞれの場所でそれぞれの声……
反射が、切実でいやだった。
君
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