暗路/
栗栖真理亜
長くて細長い暗がりを手探りで歩む
どこにも掴まる所なんてないのさ
まるで奈落に堕ちて這い上がることすら叶わぬちっぽけな蟲のよう
そうさ、オレは蟲さ
どす黒い羽を生やし厭らしい触覚であちこちを探りまくる
誰もが一目見ただけで跳びすさるほど身の毛もよだつ嫌われ者
俺にはよく視えるんだ
鐵色の複眼で白い霧を吹き掛ける阿漕な連中を
それでもオレは奈落から這い上がることなく闇をさ迷い歩く
ねじ曲がった今日という時間軸のなかで
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