錆びた鍵の唄/竜門勇気
 

狂った犬が
交差点で一匹一匹集合しながら
あの人の葬儀に向かってる
よだれ垂らして
吠え散らかしながら

葬列には骨がいっぱい
骨は骨を送る
肉が邪魔をする

甘い毒の話や
汚れても構わない聖痕について
話し合いながら歩いてる
よだれ垂らして
遠鳴をしながら

石けりをしながら行こう
これからあきそうな穴
同じくらいの灰色の石を探しながら
狂った葬列の最後尾で
自分の呼吸を必死で聞いていた

何を連れて行くんだ?
目の前の白い犬に聞く
さあ、お前は何に連れ去られるんだ?
目の前の白い尾が言葉を振り払う

おっいい石だ
石じゃねえな
なんかでかいボルトだ

さあ、お前は何を連れて行くんだ?
白い尾が揺れる
ボルトを蹴る
黒い長い毛の犬が俺を追い越していく
ボルトを蹴る

これからあきそうな穴が
こいつに合うかもしれない
M12ぐらいで
真っ赤に錆びた穴が

狂った犬が大集合
葬列には骨がいっぱい
M12ぐらいで
真っ赤に錆びた骨が

星のような穴の開いた
鍵を開けに行く


戻る   Point(1)