道程/ひだかたけし
 
死 、

しろい衰弱

人 歩いていく

雪降り積もる途を

ゆらゆらら

均衡保ちつつ 
意識明るませつつ

誰一人いくことのない
自らの自らだけの途を 

灼熱するイノチ意志、

燃やして 燃やし 燃やし尽くし

全ての思ひ出も灰燼に帰し

なほもあとに残る

想念の

育ち在り得るのなら

夜底から掬い取る如く
とほひ聲の木霊に耳澄まし

人 進みいく

嘘偽り無く

宇宙の鈴鳴る自らの
脳髄への刻印の

痕跡を更に生かし辿り

只々

いつか運び置かれた
遺体のゆらら揺れ動く
足裏の黄を見入りながら

しろい途絶の

向こう剥がれ落ちつ

星降る霜月の明るみに照らされ

いく 、 いく いく







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