哀しみの砂/栗栖真理亜
 
故郷から遠く離れた危険地帯で若い命は無惨にも散った
企業は手を血や泥で染める事なく
派遣された社員が知らない土地で無法者に命を奪われた

どんなに無念な思いをしただろう
今は亡き若者よ
これからの人生も夢さえも失って果てしない砂漠の砂に埋もれて眠っている

恐ろしい悪夢が彼らに降りかかって来る事を誰も予想せずに
こんなにも命は軽く扱われ
挙げ句には外交のゲームにまで利用される
理不尽で非道なこの世界で罪なき若者は犠牲を強いられて
声なき呻きを今も砂の地下深くからあげているというのに

あぁ、若者よ
どうか赦してくれ
無責任にも外から眺めて怒りを燃やす
この非力な私を恨まないでくれ
無情すぎる現実が彼らに迫り
否応なしに命の選択をせざる負えなかった事実は
心が痛むほどよく分かるから

希望を途中から無理矢理断念させられたこの若者たちの思いを
胸の奥深くに刻んで
私達は無責任な社会に強く抗議しよう
もう二度と同じ人間が血と涙を流して犠牲になる事がないように
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