残り香/秋葉竹
白い壁しかみえなかった
蒼ざめた心の時代
なにもかもに手が届かず
なにもかもをいらないと口笛吹いてた
夜よりも明るい闇が
家の池に一本咲いたとき
夜よりもさみしい時間が
突然目のまえに現れた気がしたキツい一撃
だれにもまして
生きてゆける自由を
コソコソとしないことだと勘違いした僕は
ただ好きなあのひとのことを
目のまえで好きですという勇気だけを
たもつことだけに必死な冒険者だった
いつも微笑みかけてくれてた
丁寧に優しくありえることを教えてくれた
はみだすことがけしてダメではないとも
白い壁しかみえなかった
蒼ざめ
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