小箱/たもつ
 


信号機に話しかけた
けれどその装置は
何も答えてはくれなかった

人が作ったから
人に作られてしまったから
今日もすべてのものに
平等に
色を伝えている

家の者に食べ慣れた
安いケーキを買って帰る
生きていくことの
積み重ねの中で
どうでもいいものなんて
本当はなかった

それでも
どうでもいいものは
どうでもいいものとして
そっと小箱の中に
しまっておいてあげたかった


戻る   Point(3)