小箱/
たもつ
信号機に話しかけた
けれどその装置は
何も答えてはくれなかった
人が作ったから
人に作られてしまったから
今日もすべてのものに
平等に
色を伝えている
家の者に食べ慣れた
安いケーキを買って帰る
生きていくことの
積み重ねの中で
どうでもいいものなんて
本当はなかった
それでも
どうでもいいものは
どうでもいいものとして
そっと小箱の中に
しまっておいてあげたかった
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