川辺の物語/
そらの珊瑚
草々は刈られ
広々とした川辺に
一本足のたんぽぽだけが刈られずに
ぽつんと取り残されていた
小春日和はきまぐれに
命の鍵をもゆるませる
死ぬのだったらこんな日がいいなと
薄い皮膚のまぶたのなかで
思ってみたり
流れていくだけの日常の中に物語はあり
立ち止まった物語の中に日常が生きている
しばらくして
そっとふりかえると
あの黄色い花は二本足になって
蝶とたわむれながら
次の扉へと歩いていくところでした
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