西武池袋線、魔と魔(改訂)/ひだかたけし
 
コンクリートとアスファルトの
硬直し冷え切った空気を掻き分け
人混みの喧騒の渦中に呑まれ
肉の花弁が押し開く
様々な異臭を嗅ぎながら
まるく濡れそぼった私の魂、
身を振り絞り振り払い
外感覚の門をゆっくりゆくり閉ざし
美醜感じることシャットアウトすれば
次第自らの内に紺青の宙の静かさ
瑠璃色蝶の緩やかな曲線を描き
宙と色を重ねながら輝き舞い飛ぶを
ひっそり密やか眺め入る今一つの私
ぽっと明かり灯し奥まる意識に誘われる

時の瞬間に 、
何かが踏み入って来る感触 ハッとし
眼を見開けば、

肩触れ合うすぐ隣の見知らぬ女
にッと笑みを溢しその艷やかな肉肌
昨夜の官能の歓び余韻むっと漂わせ
妖麗の強まる震えを私の魂に刷り込む

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