恋月 ぴのさんのひとことダイアリー
- 2012-07-10
- 中腰の背中を越えて缶を蹴る 放物線は駄々をこねているのか 気だるい昼下がり、ふたりしてベッドのなかで猫になる
- 2012-07-09
- 尖ったことばが窓ガラスを叩く そんなものだと判っていたとしても 母の形見な冷蔵庫はひんやりとパジャマ姿の胸元を誘う
- 2012-07-08
- 体育すわりして今年の夏空を撫でてみる 早足で流れる肩先は忙しげに力強くて はっと肩を掴まれては私の唇奪われた
- 2012-07-07
- 荒波に洗われた石榑は丸くて柔らかく 手に取り口に含めば 日の傾きに影を伸ばす流木のにおいがする
- 2012-07-06
- 血溜まりに浸した手拭いを絞り かつて愛した男との忌わしい過去を 浴衣に染め上げた浜昼顔の花弁へ隠す
- 2012-07-05
- 土埃舞う迷路と化した夢の軌跡を辿れば とある男の眼差しに気付く 無精ひげを摩る私によく似た男の横顔
- 2012-07-04
- 打ち付けた釘の頭を舌先で開く それは濡れたような素振りに染まり 軋む肌と肌の合わせ目を縫う
- 2012-07-03
- 背筋を伝って流れる思い 指先で追えばするりと逃げて 期待とは裏腹に降り始めた路地まで傘を差す
- 2012-07-02
- 折れた翼で呼吸する 仰ぐ空は天使の憂いに満ちていて 擦りむいた膝小僧へ唇をあてた
- 2012-07-01
- そのワイングラスは奇妙な螺旋形で 愛してなどいなかったと訴える小指から滴る血は鮮やかに 白いワインの戸惑いをほんのり紅色に染める
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