恋月 ぴのさんのひとことダイアリー
2012-08-20
いつの頃からか手を汚さなくなった 爪の間の汚れなど厭わなかった日々 懐かしくは思うものの 思い出は思い出のままで 外は雨模様 ひと雨ごとに訪れる秋の気配に 日焼けすることも無くなった指先をかざす
2012-08-19
マシュマロみたいな雲が浮かんでる ほんわかと優しげで 昨夕みせた荒ぶる姿はとても想像できなくて あれだけの雨降りだったのにね 緑は潤いを取り戻し伸びやかで 一瞬の出来事 総ては一瞬の出来事
2012-08-18
越えられなかったはずの壁を越えていた 振りかえったとしても何も見出せず そこにあったのは静けさを取り戻した浜辺を掠める海鳥の翼 これで良かったのか 虚しさに似た思いを捨てきれず赤く焼けた腕をさする
2012-08-17
なんだかなと思ってるうちに溜まりだす 台所のゴミといっしょだな せっせとレジ袋に詰め込んだら 旅に出るのが常套なんだろうけど 訪れがあれば去り行く後姿に萌えたりして 押入れから赤いザックを引っ張り出す
2012-08-16
柱の上を虹鱒が泳ぐ 風上に頭を向け 流れてくる雲を捉える 未来なんか要らなかったのだ 寄せ餌にと撒いた青空は 柱の上で秋風に揺れる
2012-08-15
遠くのほうから声がしたけど 聴こえないふりして 運河に架かった橋を渡る 西日に輝く水面は眩しくて ひとりなことを忘れさせてくれる 寂しさとは違うけど 渡りきるには未だ早いから 日暮れ前秋の予感と戯れる
2012-08-14
ダイスを転がすまでも無く 君と僕の人生は決まっていたのだから スポットライトの途絶えたリングの上で ふたり肩を組んで健闘をたたえ合うことに どれだけの意味を見出せば良いのだろう
2012-08-13
伸ばした手のひらをすり抜けるように グラスのなかで氷が弾け 君と一緒だね ふちに付いた口紅を小指で拭い 物憂げなため息ひとつ そんな夜もあって良いものだと 満月はそ知らぬ顔して雲に隠れた
2012-08-12
流れ星のかけらを拾った気がして あなたに逢えるかもなんて期待してみる 真夜中の噴水は小便小僧の寝顔みたいで 外灯下のベンチに座り あなたのくれた指輪にふれる 
2012-08-11
夢の架け橋を渡ろうとして アキアカネ舞う小道を歩む 目深にかぶった麦藁帽子 つばを軽く持ち上げて振り返る 歩んできた人生 この道で間違っていないのかと自らに問いて 乾いた喉を潤す 日暮れまではもう少し
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